久留米絣の製造工程と匠の技

久留米絣は、30以上の工程を経て反物になります。その工程には2~3か月を要し、工程ごとに培われてきた熟練の技術が活かされています。

ここでは、その代表的な製造工程のステップをご紹介いたします。

図案起こし
コンピューターや手書きなどで絣の柄を図案に起こします。図案は柄の設計図となり、1本ずつのタテ・ヨコ糸のそれぞれの模様や糸の縮みなどを考慮する必要があり熟練の技が必要です。

整経
柄を折るために必要な長さ、糸の本数を柄模様に合わせて大枠に巻き取り整えた後に、染色やくくりといった工程へと糸を振り分けます。

くくり
図案に合わせて糸を染めるために、柄になる部分に糊が付いた糸を巻き付けてくくっていきます。その糸を染色すると、括りの部分には染料が入らない為、括り糸をほどいてから織ることで、柄ができていきます。先に反物を織ってから柄を染める友禅や絞りなどと異なり、先染めの織物である久留米絣の最も特徴的な工程の一つです。

染色
藍染:久留米絣では、多くの手織りの織元さんで藍染が行われています。熟練の職人さんは藍建(あいだて)と呼ばれる藍の発酵の工程では、染液の表面を舌で舐めて発酵度合いがわかるのだとか。藍染では糸をたたいては空気に触れさせることで綺麗な藍色を出します。この工程を30回以上繰り返し、深い藍色に染め上げていきます。

化染:現代では、様々な色の化学染料を用いることで、色の定着と安定がなされ、もともと定番だったダーク系以外でも様々な色合いの久留米絣が作られるようになりました。たっぷりの水を使用し、糸に付着する不純物や余分な染料を抜き美しい発色が実現できます。久留米絣が産地に根付いたのは、この地域に地下水という資源が豊富にあったからというのも理由のひとつかもしれません。

糊付・乾燥
糸の毛羽立ちを防ぎ、テンション(伸縮率)を統一するために経糸に糊付し乾燥させます。

筬通(おさとおし)
柄模様に合わせて絣糸と地糸(括りのないそのままの糸)と順番に並べ、端から筬に通します。

経巻・緯巻
経糸(タテ糸)は柄を地と絣にわりふり、巻き箱に巻き付けていきます。緯糸(ヨコ糸)は、専用の平板に巻いていきます。柄にズレが生じないように、同じテンションで巻き取っていくため熟練の技が必要です。

織り
手織りと動力織りがあり、どちらも経糸と緯糸を絣の柄に合わせながら調整して織るため経験と技術が必要とされます。動力織りの工房では、今でも100年以上前の動力織機が現役で大切に使われ続けています。

湯通し・整反
織りあがった絣は、糊を落とすためにぬるま湯につけられ水洗い・天日干しされた後、検品を経て主に1反(約12メートル)に切りそろえられ四つ折りにして整反され、完成です。